たべることに気を配る
食べることは、身体を作ること
食べることを考えるということは、何を食べるのをやめる{体に入れない)か、そのうえで、何を食べるか(体に入れるか)を明確にすること。そして、そのルールを原則とした食事を日々守っていくことで、身体はもとの状態へ落ち着いていく。
アトピー性皮膚炎の治療のために通った漢方薬局での食事指導をきっかけに、そのことをわたしは体験した。食事に気を配った治療開始後、2年弱で完治。
そこから、漢方、食養生、野草茶に興味を持ち、体調に合わせてたべるものを調整するよう気を付けるようになった。いまでも、少し化膿しやすいかな、と感じるときには、当時の食生活を思い出して、食べないものと食べるものに心を配っている。
治療中に口にしなかったもの
・砂糖(調味料としての砂糖、菓子類など)
・茶、コーヒーなどカフェイン含有物
・酒類(アルコール)
・乳製品(チーズ、牛乳、ヨーグルトなど)
治療中の食べ方
・野菜を、どろどろにして飲む
「葉物:300g、イモ類:100g、緑濃い野菜:100g(と指導されたと記憶)」をすべてゆでて、軽く絞りジューサーでドロドロにしたものを、三等分し、毎食前に飲んでました。
・肉は月1回、魚は週1回、たまごは週2回まで
・豆を積極的に食べる
・果物は月1回
こんな食生活を治療中の2年続け、そのあと少しずつ、なんでも食べる生活に戻っていった。
アトピー性皮膚炎のころ
治るまでの過程の記録。
食べ物に気を付け、綺麗な皮膚に戻るまでに約2年弱(発症から5年強)かかった。あのとき、食養生の考え方や具体的な方法を漢方薬局で教えてもらったから、いまの素の皮膚があるのだと思う。家族の協力もあり、かなりストイックに取り組んだおかげなのか、完治まで2年弱というのは早かったみたい。漢方医さんからも、治るまでに最低3年、おそらく5年とみてたのに、と驚かれた。
発症から食事指導を受けるまで
大学3年生のころ、アトピー性皮膚炎を発症した。はじめは、太ももだけだったのに、みるみる広がって、背中や首まで、ボロボロになっていった。ボロボロな状態を見られるのが嫌で、実験(仕事)や家に閉じこもることも増えうつうつとした気分も増した。
夜も昼もかゆい。汁が出てくる、血も出てくる。家の中に血うみのなまぐさいにおいとかさぶたや皮膚のかけらがばらまかれていて、掃除機は毎日かけても追いつかないくらいだった。
皮膚科に通った。かさぶたができて新しい皮膚は再生するのだけれども、その下のほうにはこれからアトピーの種になる「汁だまり」が残ったままで。その汁だまりが上がってきて、また破裂して。汁と血が出て。その繰り返し。
かゆくて眠れないこともあって、機嫌はあまり良くないイライラした状態。ごはんをたべて、からだの温度が上がるとかゆみが増えていたので、食べることが怖くなって。でも、食べたくて。割と、わけのわからない状態になっていた。
発症から2年たったころ、知人の紹介でかかった漢方薬局で受けた食事指導が、わたしにはあっていたようで、みるみるよくなっていった。
漢方薬局で教えられた食事内容
漢方医さんに望診(顔や手、口の中を観察する診察法)をうけたあと、皮膚炎の一番ひどい個所をみてもらったとき、「薬だけじゃ治らない」と言われた。「体の中から作り直すために、食のとり方を改めるように」ということで、食事での治療という小さな紙をもらった。書いてあったのは、下の5点。
・食事は3食とること
・野菜を大量にとること(すりつぶすとよい。季節の野菜を優先。)
・砂糖、カフェイン、アルコールの摂取不可
・清潔を保つこと
・炎症部分を刺激しないこと(可能であれば、服を着ない)
早く治りたかったので、このルールを守ろうと決めた。
野菜の摂取量と食事の時間
教えてもらった野菜の摂取量を家で計量し、その量に驚いた。こんなに食べるのか? すりつぶすとよい、と書いてあったけど、ミキサーで一気につぶして冷蔵庫に保管。毎食前に三分の一ずつのみこんだ。あまり、おいしい味ではなかった。でも、治りたかったので頑張ってみた。次第に味に慣れてきて、野菜のどろどろジュースと名付けてからは少しだけ愛着も出た。
食事も朝昼晩。決まった時間に摂るように、と言われたのだけれども、当時は実験(仕事)の時間が不安定で、場合によっては昼夜逆転もあった。しかたないので、朝7時、昼13時、夜18時と食事の時間を決めて、その隙間に睡眠や実験(仕事)をおしこんだ。特に、実験(仕事)の途中に食べるごはんは、野菜のどろどろジュースだけになってしまうことも多かった。
食事から次の食事までの時間にお腹がすくときは、少しぬるめの白湯や野草茶を飲んだ。
砂糖禁止に苦しむ
砂糖が一番難しかった。食品表示をみると、これが思いがけず多くのものに入っていた。ケチャップにもソースにも。商品によってはしょうゆや味噌にも。ということで、食品表示をみて、何が入っているのか確認する癖がついた。
食品表示は、できるだけ短いもの。入っているものが単純で、わかりやすいもの。家で作成できる材料でできているというものを選んだ。
そして、使える調味料は「塩、みそ、酢、しょうゆ、(本みりん)」。食品表示をみて確認が必要ではあったが、とてもシンプルになってきた。
おかし好きとしては、お菓子が食べられないのも悲しかった。おせんべいにもおかきにも。風味づけには砂糖が使われることもあるようで。数種類のおかきのほか、家でおからに小麦粉を少し混ぜて薄く焼いたクッキーのようなものが、おやつのかわりとなった。
治ってから
食事に気を付けることで、アトピー性皮膚炎の治療期間が短縮したことは、食事の内容に気を配ることの大切さを実感した。だから、身体に不調(違和感)を覚えたときは、最近食べていたものの内容を再検討することが多い。少し、砂糖や肉類を食べ控えて、野菜を多めにとることを心がける。早めに気が付ければ、もとの体調に早く戻れる。
身体の不調(皮膚炎からのかゆみなど)がおさまってから、イライラすることや外への出づらさも気づいたらおさまっていた。体が元気で居られれば、こころも穏やかにいられることを再確認した。
今、おいしいごはんがたべられることがとてもうれしい。ごはんがおいしい、と言えることは、体も心も健やかであるから。
からだの不調を感じるとき、ここ最近の食事の内容を思い出してみませんか?
不調の理由が見つかるかもしれません。